
「鼻からの胃カメラって痛いの?」「できればラクに受けたい…」そんなお声をよくいただきます😌 今回は、鼻から胃カメラを楽に受けるためのコツを、消化器専門医である 福田頌子院長が、やさしく解説します😊
🔎 目次
鼻から胃カメラ検査とは?経鼻内視鏡の基本解説
経鼻・経口の違いと胃カメラの仕組み
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)には、主に経口と経鼻の2つの方法があります。経口検査では口からスコープを挿入しますが、経鼻内視鏡はより細いスコープを鼻から入れることで、舌の付け根や喉の奥に直接触れにくくなっています。これにより嘔吐反射が起こりにくく、検査中も比較的リラックスして受けられるのが特長です。また、検査中に医師との会話も可能なため、安心感があるという声も多く聞かれます。
鼻から胃カメラ検査が選ばれる理由とメリット
鼻からの胃カメラは「苦しくない胃カメラ」として広く認知されつつあります。特に嘔吐反射の強い方や不安の強い方にとって、大きなメリットがあります。また、経鼻内視鏡は痛みや不快感が少ないため、鎮静剤を使わずに済むことが多く、検査後にふらつきや眠気も少ないという利点があります。そのため、検査後すぐに帰宅しやすく、日常生活への影響が最小限に抑えられるのも魅力の一つです。
どんな病気や疾患の発見に役立つのか
経鼻胃カメラは、胃や食道、十二指腸の状態をリアルタイムで観察できるため、さまざまな消化器疾患の早期発見に有効です。代表的な疾患には、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、ポリープ、食道がん、胃がんなどがあり、ピロリ菌感染の有無を調べる際にも重要な手段となります。自覚症状が少ない初期段階で異常を見つけることができるため、定期的な内視鏡検査はとても大切です。
鼻から胃カメラは本当に痛いのか?体験談と実情
「痛かった」体験談と知恵袋の声
インターネット上では、「鼻がヒリヒリした」「スコープが通らず断念した」といったネガティブな体験談も一部見られます。特に、鼻腔が狭い方やアレルギー性鼻炎のある方では、スコープの通過時に違和感や痛みを感じやすい傾向があります。しかし、実際には多くの方が「思ったよりもラクだった」「口からの胃カメラよりはずっとマシだった」と感想を述べています。痛みの感じ方には個人差があるものの、全体としては肯定的な評価が多数派です。
鼻から胃カメラが『痛くない方法』はある?『死ぬかと思った』は本当?苦痛や不快感の傾向
鼻からの胃カメラをできるだけ快適に受けるためには、いくつかの工夫があります。まず第一に重要なのは、事前の鼻腔チェック。片側の鼻が詰まりやすい場合には、通りの良い方を選んで検査を行います。また、表面麻酔を丁寧に塗布し、十分に時間をかけて効かせることも痛みの軽減につながります。さらに、検査を行う医師の技術やコミュニケーションの丁寧さも、痛みや不安の感じ方に大きく影響します。経験豊富な医師のもとで受けることで、より安心して検査に臨めるでしょう。
『死ぬかと思った』は本当?苦痛や不快感の傾向
ネット掲示板やSNSなどで、「死ぬかと思った」といった強い表現を見かけることがあります。こうした感想の多くは、以前の太めのスコープを使用していた時代のものや、麻酔の使用が不十分だったケースであることが多いです。近年では、スコープの直径が非常に細く改良されており、鼻腔に通しやすく、痛みや不快感が大幅に軽減されています。もちろん、多少の違和感は避けられませんが、「死ぬような苦しみ」とは無縁であるのが現在の標準的な内視鏡検査の実情です。
鼻から胃カメラができない人・苦手な人の特徴と割合
鼻からできない人はどれくらいいる?
鼻からの胃カメラ検査(経鼻内視鏡)は多くの方に適応できますが、すべての人に可能なわけではありません。実際には全体の約5〜10%の方が、鼻腔が狭い・アレルギー性鼻炎がある・構造的な異常があるなどの理由で、経鼻挿入が困難とされています。検査前には鼻腔の通りを確認し、医師が無理に挿入しないかどうかを判断します。そのため、「無理に鼻から入れられて苦しかった」というケースは、近年では少なくなっています。
鼻からが苦手な人の傾向と理由
鼻からの挿入が「できる」場合でも、「苦手」と感じる方もいます。その要因には、鼻の違和感や圧迫感への敏感さ、麻酔の効きづらさ、以前の不快な経験の記憶などがあります。また、花粉症や副鼻腔炎など、慢性的に鼻のトラブルを抱えている方も、検査中に不快感を訴える傾向があります。そのため、医師は事前に症状や既往歴をしっかりと確認し、最も適した方法を選択することが大切です。
経口カメラでできて、経鼻カメラでできないこと
基本的な観察や診断、組織検査(生検)においては、経鼻・経口どちらも同じように対応可能です。ただし、ごくまれに病変の位置や角度によって、太くて操作性の高い経口スコープの方が詳細に観察しやすい場合があります。また、出血を伴う処置や止血などの高度な処置を要する場合には、より太径の経口内視鏡を使用するケースもあります。そのため、すべての処置を鼻から行えるわけではなく、医師の判断で経口検査へ切り替えることがあります。
鼻から胃カメラ検査の流れと当日の注意点
検査当日の流れ|受付から検査終了まで
鼻からの胃カメラ検査は、来院から終了まで通常30〜60分ほどで完了します。受付後、医師の問診や鼻の状態の確認を行い、適応を判断します。検査前には鼻腔に麻酔薬を噴霧し、スムーズな挿入の準備をします。その後、ベッドまたは椅子に座った状態で、細径スコープを鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸まで観察します。検査中も会話が可能なため、不安があればその場で相談できます。終了後はすぐに帰宅可能な場合がほとんどです。
検査前の注意点|絶食と服薬について
正確な観察のため、検査当日は朝食を控える(絶食)必要があります。お水やお茶などの水分は、少量であれば摂取可能とされるケースが多いですが、クリニックの指示に従いましょう。また、常用薬の中でも血糖降下薬や抗凝固薬は中止の指示があることもあるため、事前の医師への相談が重要です。胃の動きを抑える薬や、泡を消す薬などは検査直前に服用することもあります。
▶︎ 胃カメラ前の食事について詳しくはこちら検査後の注意点|飲食の再開と過ごし方
検査後は、鼻の違和感や軽い鼻血がみられることがありますが、多くは一時的なものです。また、鼻や喉の麻酔の影響が残っている間(30分〜1時間程度)は、飲食を控える必要があります。検査後すぐの飲食は、誤嚥のリスクがあるため注意しましょう。鎮静剤を使用しないケースが多いため、自動車の運転や仕事への復帰もすぐに可能ですが、体調が優れない場合は無理をせず休息をとることが大切です。
▶︎ 胃カメラ後の食事について詳しくはこちら鼻から胃カメラの費用は?保険は使える?
保険適用の条件と自己負担額の目安
鼻からの胃カメラ検査は、基本的に保険診療の対象となります。症状や診断目的が明確にある場合(胃痛、胸やけ、ピロリ菌の確認など)、健康保険が適用され、3割負担の方でおよそ3,000円〜6,000円前後が目安となります(検査内容によって変動あり)。一方、人間ドックなどで希望して受ける「自費検査」の場合は、1〜2万円程度かかることもあります。
追加費用が発生するケースとは?
観察のみであれば上記の費用内で済みますが、ピロリ菌検査・組織採取(生検)・病理検査などを同時に行うと、追加費用が発生します。また、鎮静剤を希望した場合や、点滴・処置が必要なケースも加算されます。費用について不安がある場合は、事前にクリニックで確認することをおすすめします。
よくある質問
当院では、鼻からを基本としていますが、鼻の通りが悪い方や過去に出血した経験がある方は、口からの検査をおすすめしています。
はい、ごく少量の鼻血が出ることがありますが、ほとんどの場合はすぐに止まり、心配いりません。検査後に強く鼻をかまないようご注意ください。
鎮静剤を使用しない限りは、検査後の運転や仕事も可能です。鎮静剤を希望した方は当日の運転は禁止されますのでご注意ください。
ご安心ください。初めての方こそ、痛みや不快感の少ない経鼻内視鏡がおすすめです。検査中も会話ができるため、不安を感じたらすぐに医師に伝えられます。
まとめ|無理せず、自分に合った方法で検査を
不安を減らす情報と事前準備がカギ
「鼻からの胃カメラは痛い?」という不安は、事前に正しい情報を知ることで大きく軽減できます。特に経鼻内視鏡は、技術の進歩により快適性が大きく向上しています。無理に我慢せず、適切な準備と医師との相談が大切です。
気になる症状があるなら、早めの受診を
胃の不調や胸やけ、家族に胃がん歴がある方などは、定期的な内視鏡検査をおすすめします。早期発見が命を救うこともあります。「いつか受けよう」と思っているなら、今がそのタイミングかもしれません。
実は、、、経鼻胃カメラの麻酔は
当院では、患者様のご希望や状態に応じて、鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)を中心にご案内しています(ご希望に応じて口からの検査も可能です)。
私はこれまで、複数のクリニックや健診センターで胃カメラの検査を担当してまいりました。

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