胃腸炎の後もお腹の不調が続く<br>~胃腸風邪が治っても胃痛や下痢が続く~<br/>|あさひの森内科消化器クリニック|尾張旭市の内科・消化器科

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胃腸炎の後もお腹の不調が続く
~胃腸風邪が治っても胃痛や下痢が続く~

先日、胃腸風邪になってしまいました😥😥😥
私は元々、(消化管内科の医師ですが)

  • 過敏性腸症候群下痢型
  • 逆流性食道炎
  • 機能性ディスペシア
でなんです。
今回は娘から胃腸風邪がうつってしまったのですが、タイトルの通り、、、、、
胃腸風邪は治ったはずなのに。胃痛や胃もたれ下痢やお腹のギュルギュルが治りません😣💥長引く不調、、想像以上に辛いです。
胃腸風邪が流行っていますし、しかも年末年始で外食の機会が避けられない状況。お悩みの方は是非この記事を参考にしてください。

機能性ディスペシアとは

機能性ディスペプシアとは、胃の痛みや不快感などの症状が現れているにもかかわらず、上部消化管検査(胃カメラ)など胃に関する検査を行っても何も病気が見つからなかった場合に、診断される病気です。英語表記functional dyspepsiaの頭文字をとって「FD」とも呼ばれます。
健康診断を受けた人のうち11~17%、症状を訴えて病院にかかった人のうち44~53%が診断される、比較的「よくある病気」でもあります。
機能性ディスペプシアの原因は、明確な原因が1つだけであるのではなく、様々な原因が複雑に絡み合って発症につながっていることが多いです。特に重要とされているのは以下の4つです。

  • 胃や十二指腸の運動が障害されている
  • 胃や十二指腸に知覚過敏が生じており、軽い胃の拡張刺激、胃酸や脂肪に過敏になっている
  • 不安や抑うつ症状など精神的な影響によって脳腸相関が起こり、胃や腸に変化が起こっている
  • 胃酸の刺激

他にも、遺伝によって生まれつき機能性ディスペプシアになりやすい方もいますし、胃の上部が拡張して変形する瀑状胃である方も機能性ディスペプシアを発症しやすくなります。
さらに、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染している方や、アルコールの飲用や喫煙、生活習慣の乱れ、自律神経の乱れなどにより、機能性ディスペプシアを誘発することもあります。

機能性ディスペプシアの症状には、次のようなものがあります。

  • 食後の胃もたれ
  • みぞおちの痛み(心窩部灼熱感)
  • 胃周囲の灼ける様な痛み
  • 食事を初めてすぐに満腹感を感じる(腹部膨満)
  • 吐気・げっぷ

慢性的にお腹の不調があるにも関わらず、胃カメラをやっても「問題ないよ」と言われてしまい、困っている方も多くみられます。

感染性腸炎後機能性ディスペシアとは

最近では感染性胃腸炎(胃腸風邪)による下痢や嘔吐などの症状や炎症自体が改善したにも関わらず、胃もたれや食欲不振などの症状が続くケースが報告されており、感染後機能性ディスペプシアと呼ばれています 。感染性腸炎(胃腸風邪)によって、発症する場合もあれば、再燃(再発)もしくは増悪(悪くなる)ケースもあります。
単に「胃腸風邪が長引いている」と診断されてしまい適切な治療(投薬)を行わないと効果はありません!!

機能性ディスペシアの治療法

機能性ディスペプシアの治療は、内服薬で行います。胃の働きをよくする消化管運動改善薬を用いて治療を行うことが一般的ですが、逆流性食道炎などの胃酸の逆流に伴う胸焼けやゲップなどの症状がある場合は胃酸を抑える薬を用いて治療を行います。
胃の動きをよくするお薬は
  • ガスモチン
  • プリンペラン
  • ナウゼリン
  • 六君子湯(漢方)
などが挙げられます。また2013年より世界で初めて機能性ディスペプシアへの適応をもつ薬剤として、日本で開発されたアコチアミド(アコファイド®)が発売されました。
特に食後の胃もたれや早期飽満感、胃の張りを感じる方に、効果が期待できる薬剤です。

アコファイドを保険適応で使用する場合は、胃カメラで胃癌や胃潰瘍などがない事を確認する必要がありますのでご注意下さい🥰

感染性腸炎後過敏性腸症候群(PI-IBS)

感染性腸炎の後のすっきりしない病態を感染性腸炎後IBS(PI-IBS)と呼びます。

まず、過敏性腸症候群(IBS)は、腸の検査をしてもただれや腫瘍などの器質的異常が認められないにもかかわらず、慢性的に腹部の張りや不快感、腹痛を訴えたり、下痢や便秘などの便通の異常を繰り返したりする疾患です。大腸カメラで異常がないことを確認した上で診断されます。ストレスや心理的な要因が影響することも多く、生活習慣の改善が治療の第一歩です。

さらに、感染性腸炎の後にIBS症状が発症することがあり、この病態を感染性腸炎後IBS(PI-IBS)と呼びます。

つまり、PI-IBSは、感染性腸炎を経験した後に発症する過敏性腸症候群(IBS)の一種です。

PI-IBSは感染性腸炎後の機能障害

PI-IBSの発症は、感染性腸炎が治った後にも、消化管の機能に変化が生じることが原因とされています。

感染性腸炎とは、細菌やウイルスなどの病原体によって引き起こされる腸の感染症で、発熱、嘔吐、下痢などの症状が現れます。

PI-IBSは、感染性腸炎の症状が治まった後に、便中細菌培養陽性の確認や、発熱、嘔吐、下痢のうち2項目以上を示す症状があった場合に診断されます。

Rome Ⅳ診断基準にもとづく感染性腸炎後過敏性腸症候群(PI-IBS)の診断基準

繰り返す腹痛が,最近3カ月のなかで,平均して1週間のうち少なくとも1日以上を占め,以下の2項目以上の特
徴を示す:
a)排便に関連する
b)排便頻度の変化に関連する
c)便形状(外観)の変化に関連する
2.急性感染性腸炎の寛解後に速やかに症状が発現する
3. 便培養検査で陽性,または以下の2つ以上の急性症状の存在によって診断された感染性腸炎:
a)発熱
b)嘔吐
c)下痢
4. 上記の急性感染症の発症前にはIBS診断基準を満たしていない

また、感染後に初めてRome IV診断基準を満たすIBSを発症した場合にもPI-IBSと診断されます。

感染性腸炎後にPI-IBSを発症する確率は約10%

症状としては、下痢と便秘の両方が見られる混合型も下痢型の便通異常のこともあります。

そのため、PI-IBSは発症前の感染性腸炎のエピソードが重要になりますので、問診が非常に大切です。

研究によると、感染性腸炎の罹患者を半年以上追跡した結果、PI-IBSの出現率は4~32%(平均10%)と報告されており、非感染者の新規IBS発症率(0.35%)に比べて約6倍も高いことがわかっています。

これは、感染性腸炎を経験した人々が、感染後に機能性消化管疾患を発症しやすいことを示しています😥😥

過敏性腸症候群の治療には様々な治療法がありますが、専門知識や過敏性腸症候群の経験の少ない医師の処方では症状をコントロールできないケースも良くあります。
お困りの方は「消化器病専門医」の受診をお勧めします❤❤

もちろん、お近くの方は当院へご来院くださいね😘🌳🏥