【消化器内科専門医が解説】肝臓の血管腫ってがんになる?消える?検査方法や注意点まとめ|あさひの森内科消化器クリニック|尾張旭市の内科・消化器科

長久手、日進、名古屋市からもアクセス良好です

ブログ BLOG

【消化器内科専門医が解説】肝臓の血管腫ってがんになる?消える?検査方法や注意点まとめ

肝臓の画像
💬

肝血管腫はがんになる可能性がゼロではありません!!!

肝血管腫の正しい理解・画像検査の選び方・実際にがんになってしまったケースなどを、
消化器内科専門医がやさしく解説しています。
多くは良性ですが、見逃してはいけないサインを知ることで、安心と早期発見につながります。

▼「時間がない方」は、下のダイジェストからどうぞ!

▶▶▶まずはここで安心!30秒でわかるダイジェスト

  • 肝血管腫はほとんどが良性腫瘍。
    無症状で見つかることが多く、経過観察になるケースが一般的です。
  • がんとの違いは?
    まれに「血管肉腫(悪性)」という病気もあり、CTやMRIで慎重な評価が必要です。
  • 定期的な腹部エコーが重要!
    放置すると悪性化や見逃しのリスクも。半年〜1年ごとの画像チェックをおすすめします。
 
血管腫だと思っていたのに、、、がんになってしまったケース! 院長の経験談はこちら

🔍 詳しく知りたい方は、このまま本文をご覧ください。

肝血管腫とは?がんとは違うの?

良性腫瘍である肝血管腫の基本

肝血管腫(かんけっかんしゅ)は、肝臓にできる良性の腫瘍です。血管が異常に増殖して塊になったもので、生まれつきある人もいれば、後天的に大きくなる人もいます。

大きさは数ミリ程度の小さなものから、10cmを超えることもありますが、多くは無症状で、治療を必要としないことがほとんどです。

がんとの違い

肝血管腫はがんではありません。転移したり命を脅かす性質はありません。ただし、画像でがん(悪性腫瘍)と似て見えてしまうことがあるため、初回診断時には慎重な鑑別が必要です。


「がんだった」ってこともあるの?

稀に「肝血管肉腫」などの悪性腫瘍だった例も

非常にまれですが、肝血管腫と診断されていた病変が、実は肝血管肉腫などの悪性腫瘍だったというケースがあります。
こうしたがんは画像上でも血管腫とよく似ており、特に小さいうちは見分けがつきにくいことがあります。

✅ 院長の経験談

✅ 院長の経験談

市中病院に勤務していたころ、「肝血管腫」と診断された患者さんに半年後の腹部エコーを予約しましたが、来院されませんでした。
さらに半年後、腹痛と倦怠感で受診されたときには、すでに状態が悪化しており、
肝血管肉腫と診断され、残念ながら数か月後にお亡くなりになりました。
このケースはかなりレアケースなので過剰に心配しすぎず
➡️定期的なエコー検査で経過を観察することがとても重要なのです。

院長の経験イラスト

エコーだけで大丈夫?CTやMRIとの違いは?

エコーでわかる?それとも追加検査が必要?

肝血管腫の多くは腹部エコー(超音波)で発見されます。非侵襲的で放射線被ばくもなく、繰り返し使える便利な検査です。

ただし、形が典型的でない場合・大きさが増している場合・他の疾患との鑑別が必要な場合には、追加で造影CTやMRIを行うことがあります。

CTとMRIの違いと診断精度の比較

各検査の特徴と、血管腫の診断における正診率(病理診断との一致率)を以下にまとめました:

検査 特徴 正診率 備考
腹部エコー 簡便・非侵襲的 約80% 経過観察に有用
造影CT 短時間で撮影・広範囲評価 約90% 被ばくあり
単純MRI 高コントラスト解像度・非被ばく 約92% 当院で実施可
造影MRI 造影パターンで識別可能 約95% 糖尿病・喘息の人は注意

造影剤使用時の注意点と当院の対応

造影検査を行う際には、糖尿病薬(特にメトグルコなど)を中止する必要があります。また、喘息の既往がある方はアレルギー反応やアナフィラキシーのリスクがあるため、原則として禁忌とされることがあります。

これらの理由から、造影検査は通常、設備と緊急対応体制の整った専門病院で実施されます。
当院では被ばくのない単純MRIによる評価を行っており、必要に応じて連携病院への紹介も迅速に対応しています。 当院に限らず、クリニックレベルで「造影CT」「造影MRI」を行っている施設はかなりレアケースです。MRI


肝血管腫は自然に消えるの?

消えることはある?縮小することは?

小さな血管腫の一部には、時間とともに少しずつ縮小するケースも報告されています。

ただし、自然に完全に消えることはまれです。特に5cm以上の「巨大血管腫」では、圧迫による胃の不快感や右上腹部の違和感を生じることもあります。

✅ 自然に消えることはまれ
✅ 多くは無症状のまま安定
✅ 増大傾向や症状があれば注意

どんなときに治療が必要?

基本的には治療不要ですが、以下のような状況では外科的切除や血管塞栓術が検討されます:

  • 血管腫が大きくなってきた場合(特に5cm以上)
  • 圧迫症状(食欲不振・吐き気・違和感など)がある
  • がんとの区別が難しいとき

「良性」と言われても、定期的な画像フォローは非常に重要です。1年に1回程度のエコー検査をおすすめしています。


肝血管腫とストレスの関係は?

ストレスで血管腫が悪化する?

結論から言えば、肝血管腫とストレスの間に直接的な因果関係はありません。 肝血管腫は体質や血管の成り立ちに関係しているとされ、生活習慣やストレスが原因で大きくなるという明確なエビデンスはありません。

でも、体調の変化と関係することも

一方で、ストレスや疲労がたまると胃腸の不調や腹部膨満感が強くなり、それがきっかけでエコー検査を受けた結果、 血管腫の存在に気づくことがあります。

また、「違和感を感じやすくなる」「検査や診断に敏感になる」といった心理的変化も、 血管腫が気になる背景には影響しているかもしれません。

💡 POINT:
ストレスで血管腫が「悪化する」ことは基本的にありませんが、
不調のきっかけで見つかるケースもあります。

過度に心配しすぎず、冷静に画像検査と経過観察を続けることが、安心への近道です。


よくあるご質問(Q&A)

Q. 肝血管腫って薬や食事制限が必要ですか?

A. 基本的に薬や食事制限は不要です。ただし、大きさや他の病気がある場合は医師の指示に従ってください。

Q. 腹部エコーはどれくらいの頻度で受けるべき?

A. 小さくて変化のない血管腫は1年に1回のエコー検査で十分です。
一方、形や大きさに変化があった場合は、3〜6ヶ月ごとの経過観察が必要になることもあります。

Q. 良性ならそのまま放置しても平気ですか?

A. 基本的に良性ですが、まれに他の病気との鑑別が必要になることがあります。
放置せず、定期的な検査で見守ることが安心につながります。


 
あさひの森内科消化器クリニック 院長 福田頌子医師の写真

執筆・監修:福田頌子(あさひの森内科消化器クリニック 院長)

  • 消化器病専門医
  • 消化器内視鏡専門医
  • 内科認定医

▶︎ 院長紹介ページはこちら

 

Instagram
Instagram
LINE
公式LINE
YouTube
YouTube